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飲食店の退職・人手不足 / 01

辞めたい。でも、私が抜けたら店が回らない

いつまで店の心配をして、自分の希望を後回しにするんだろう

夜の飲食店の客席。本文の勤務先とは別のイメージ写真写真はイメージです

「辞めます」の四文字が、やけに重い。

人が足りない。新しい人もまだ覚えることが多い。シフト表を見れば、自分が抜けたあとに誰が困るかまで分かってしまう。だから今日も、言えない。

私にも思い当たることがある。平日ランチに入れるアルバイトが私しかいなかった店で、本当は土日に働きたかった。でも、頼まれて平日のランチを引き受けた。

働く時間は減り、時給も下がった。慣れた仕事ばかりになり、ほかのポジションを経験する機会も減った。

店には必要とされているはずなのに。あれ、私の条件は前より悪くなってない?

誰かのせいにしたいわけではない。ただ、店の都合をよく知っている人ほど、自分の都合を置く場所がなくなることがある。

01店には必要。でも、自分には余裕がなくなる

飲食店のランチは、今日の人数で今日の注文を回す。足りない人を来月の採用予定で埋めるわけにはいかない。だから「この時間に入れます」と言える人が、本当に頼りにされる。そこまではよく分かる。でも、お願いを引き受けるうちに、店のシフトが自分の希望より先に決まる。頼りにされるほど、少しずつ選べることが減っていくのが厄介だった。

でも、頼まれるたびに引き受ける人ほど、「この人はここに入れる」という前提でシフトが組まれることもある。いつのまにか、自分の希望より店の都合が先になる。本人が断れない性格だから、と片付けるには少し違う。ほかのスタッフの生活も、店の営業も見えてしまうから、簡単に断れないのだ。

私の場合、土日にも働きたい気持ちはあった。ただ、そこにはほかのスタッフが入っていて、その人たちにも事情がある。取り合いをしたいわけではなかった。結局、自分にできることだけを増やし、自分の働き方の相談は後回しになった。

だから「辞めたい」と思う前に、自分が今何を引き受けているかを書き出してみてほしい。いつも入っている時間帯、急なヘルプ、担当が増えた仕事。それは求人票に載らないけれど、仕事の実態だ。

閉店後の静けさ。営業中にはなかなか考えられないことも、ある。イメージ写真
閉店後の静けさ。営業中にはなかなか考えられないことも、ある。 写真:Igor Vieira / Pexels(イメージ)

02嫌なのは飲食の仕事? それとも「今の働き方」?

「飲食店を辞めたい」と検索したくなる夜があるとして、本当に辞めたいものは何だろう。料理を作ること? 接客? それとも、また急に頼まれるかもしれないと思いながら休むこと? ここを一緒にすると、店を変えたのに同じことで疲れるかもしれない。

「もう接客したくない」なら業務内容を変える話。「給与が上がらない」なら評価制度と役割の話。「休みが足りない」なら休日数だけではなく、希望休と急な呼び出しの話になる。同じ転職でも、探すべき求人は変わる。

一度だけ、今の店でよかったことも書いておくといい。忙しい時でも連携が取れる、好きなメニューを作れる、通勤が楽。全部悪かったことにしなくていい。むしろ残したい条件を見つける方が、次の職場選びには役立つ。

辞めるか続けるかを今日決める必要はない。先に「次の店では絶対に繰り返したくないこと」を一つ決める。そこが転職先を見るときの物差しになる。

店を回すために働いていたのに、いつのまにか「店を回すこと」が自分の希望より大きくなっていた。

03次の店でも同じことになるのが、いちばん怖い

「次の店に行っても同じだったら」。これがあるから動けない。でも、今の店のことだけで次の店を決めなくてもいい。求人票では、きれいな言葉よりも勤務時間、休日の決まり方、任される仕事の範囲を先に見たい。

二つ目は休日。「週休2日」と「完全週休2日」は同じとは限らない。年間休日やシフトの決め方、土日の希望を出せるかまで確認したい。「休める」と「自分の生活に合わせて休める」は違うから。

三つ目は役割と評価。忙しい時間に何でも引き受ける人が、ちゃんと評価されるのか。ホール専任か、キッチン兼務か。別ポジションを覚える機会はあるのか。入社後に聞けばいい、と思っていたことほど、働き始めると聞きにくくなる。

求人票だけで分からないことは、面接で確認していい。聞いたら落とされるかも、と心配になるが、長く働くために必要な条件を黙って入社する方が、後々しんどい場合もある。

今すぐ辞めない人も、無料で相談できる

飲食は嫌いじゃない。でも、このまま続けたいとも言い切れない

「辞めたい」と思いながら、次の店で何を変えたいのかは案外まとまらない。飲食専門のitkでは、今すぐ転職する予定がなくても、働く環境や給与の悩みを無料で相談できる。紹介された求人に必ず応募する必要もない。

04「私が抜けたら迷惑」そう思うと、なかなか辞められない

人手不足の店を辞めるのは、後ろめたい。特に、誰がどこに入れるかを把握している人ほど、自分が抜けた後の穴が見える。でも、自分一人の我慢でずっと営業が回る仕組みは、そもそも長く続けるのが難しい。

だからといって無断で辞めたり、引き継ぎをせずに去ったりする必要はない。就業規則や雇用契約、退職を伝える方法を確認し、自分ができる範囲で段取りを決める。法律面でトラブルがあるときは労働局などの相談窓口も使える。

次の職場を見てから残る選択をしてもいいし、今の店で希望条件を相談し直す選択もある。まず一つ、比較できる相手を持つこと。その時点で「ここしかない」という気持ちは少し変わるかもしれない。

希望を書き出すのは、退職届を書くこととは違う。イメージ写真
希望を書き出すのは、退職届を書くこととは違う。 写真:Polina / Pexels(イメージ)

05次の店の条件を知る、という小さな選択

料理や接客の仕事は好き。でも今の働き方では続けられない。そんな人には、飲食業界の求人を扱う転職支援サービスを使う方法もある。別業界へ移ると決める前に、飲食の中でどんな職種や労働条件があるかを見るためだ。

今すぐ辞めるつもりはなくても、給与や休みについて誰かに聞いてみたいときがある。itkの公式案内では、転職するかどうか決めていない人の相談も無料だとしている。紹介された求人は、希望に合わなければ応募しなくていい。

itk(アイティーケー)は飲食業界の求人紹介・転職支援を行うサービス。公式サイトにはレストラン、調理、店長職などの求人例があり、専任の担当者による転職サポートを案内している。相談・求人紹介は無料と説明されている。ただし紹介される求人や面談の条件、募集状況は時期によって異なる。

次の店に聞いてみたいこと

  • 人が足りない日のシフトは誰が調整する?
  • 休みの希望はいつ・どう伝える?
  • 今の給与に含まれる残業代は?
  • 一つのポジション以外も経験できる?

06話を聞く前に、希望を三つだけ

希望を全部かなえる求人を一件で見つけるのは簡単ではない。だから「休日」「月給」「勤務時間」「通勤」「担当業務」を同じ優先順位にしない方がいい。全部大事だからこそ、譲れない順番を先に決めておく。

たとえば、今の不満が「急なシフト変更」なら、給与が少し上がる求人よりもシフト確定の時期や休日の運用を聞く。今の不満が「担当が増えても評価されない」なら、昇給の基準や仕事内容を聞く。良さそうな求人かどうかは、現場で何に困ったかによって変わる。

まだ辞めると決めていなくても、情報を集めて比較することはできる。現在の勤務先に伝える前に確認したいことがあるなら、担当者に転職活動の進め方を相談する際、連絡方法や情報の取り扱いも確認しよう。

07辞めると決めないまま、できること

まず、今週働いた時間と仕事内容をメモする。次に、希望と違ったシフトを一つ書く。最後に、その原因が「今の店だけ」の問題か、「自分が優先順位を伝えてこなかった」ことも関係するのかを考えてみる。誰かを責めるためではない。自分の条件を言葉にする練習だ。

忙しい店で覚えたことは、忙しさの中に埋もれやすい。レジや厨房の手順を知っている。新人の動きを見て先回りできる。ピークを支えられる。それは、ただシフトに穴を開けない人というだけではない。

「人がいないから辞められない」と感じたら、その前に一度だけ考えてみてほしい。自分が別の店に行ったら、同じ経験はどんなふうに使えるだろう。答えを探すことと、明日退職届を出すことは、別々の行動だ。

今すぐ辞めない人も、無料で相談できる

今の店しか知らないまま、辞める・辞めないを決めなくてもいい

まだ退職を言い出せなくても、今の店の外にどんな選択肢があるか聞いてみることはできる。itkは、転職を決めていない人からの相談も無料で受け付けている。まずは、自分が譲れない条件を言葉にするところから。